お墓参りは少し前に帰省した時にしてきたし。また行く予定だし許して欲しい。>懺悔タイム終了
お盆がきて終戦の日もきて、戦争をテーマにしたドラマや特別番組がたくさん放送されていて、やはり率先して毎年見てしまう。
その中でもEテレで放送された『映画「ひろしま」』が、これまでの人生の中でみた戦争映画の中で一番生々しく言葉もグイグイ刺さってきて、身近に感じられないとかそう言う感覚も置き去りにして、否応なしに現実をグイっと目の前に差し出されたような、とにかくシンプルに圧倒的な力がある映画だった。
映画なのだけど、まるで記録映画のようだった。
この映画は、長田新が被曝した子供たちの体験手記をまとめた文集『原爆の子〜広島の少年少女のうったえ』を元に脚色された物語らしいので、事実を元にしたフィクションって括りになるのかもだけど、原爆症の主人公の回想パートになるのかな、原爆投下の映像から先、30分くらいの映像に関しては、実際あの日にフィルムを回してたのでは?と思わされるような空気感があり、まるで記録映画のようだった。
スタッフも出演者も関わる全ての人が、原爆とはなんぞを細部まで再現し伝えるべく情熱を注いで作られた「あの日」なんだと思う。
この映画の放送にあたり、特番として「忘れられた“ひろしま”〜8万8千人が演じた“あの日”〜」って放送もあったんだけど、これみるとがれきや日用品、衣服等、実際当時被曝したものが数十万点、市民から寄せられ、集められ、劇中で使用されていたというので、エキストラの方々の体験だけでなく、あの風景そのものにもあの日の実在の片鱗が練りこまれていたのだと知る。
冷戦時代、反共産主義の砦だった日本では、左翼、共産主義を取り締まりまくられてて、朝鮮戦争起きたら、トルーマン原爆使うかもとか言い出すし、原爆の事みんな知らな過ぎかよ!また子供を戦地に送る事になるんかよ!って流れで、日教組が組合でお金集めて作った映画との事で、出演していた子供だった方々のインタビューみると、出演してたら、アカと呼ばれた、周りの大人から進学就職に響くから深入りするなと言われたって話とか、子供の純粋に平和を願う気持ちが、日教組等の大人たちのイデオロギーを達成するために政治利用されたと感じで距離を取ったとか…当時の時代背景を考えると、ガチガチの反米反戦映画だったのかなとも思いつつ、ただ純粋に広島で起きた事を知って欲しい、自分たちの苦悩を知って欲しい、ただただこんな事は二度と起きて欲しくない等、平和への願いを持って参加出演した人の気持ちとしては、そこが引っかかって大手配給会社がこの映画を上映しなかった事実はショックだったんじゃないかなって思ったり…反米色が強いとされたシーン、原爆を落とす飛行士の告白を朗読する部分、日本人はアメリカの新兵器のモルモット実験に使われたというセリフ、原爆被害者の頭蓋骨を掘り起こしアメリカ人に売る描写、等があるんだけど……もちろんこれがあってこそ、という気持ちもあるのだけど、ここがなくても伝わる映像ではあったんだよな…原爆の悲惨さ恐ろしさは絶対に伝わったはずで。
とは言え、数々の人たちの想いや情熱をこめて作った作品、折れるなんでできないよなとも思う。
どこに重きを置くか…というのは、携わった人たちそれぞれ違ったかもしれないなとふと思ったりする。
原爆投下8年後の広島の中学校から始まる物語なのですが、原爆症(放射線誘発性の白血病と思われる)を発症した女生徒が、最近の広島では、銀行前の死の影(人影の石)を顧みる人はいない、軍艦マーチが街に流れているのがかなしいと。
また戦争が起きるのではないかという悲壮と不安を込めたモノローグに、8年でもう戦争風化してる感じなのかっていう驚きがあり、またこの女生徒の担任の教師は、戦後広島に赴任してきた設定なんだが、あんま原爆の事知らないんだよな…アメリカ占領下では民主化の妨げになるような反米をあおる情報、広島(長崎もなのかな)の原爆関連の言論は潰されて多っぽい描写、また広島でも原爆症は知られておらず、被爆者は原爆症で自分はいつ命を落とすかと恐怖を抱いているのに、体調不良を訴えると、原爆を鼻にかけてる、原爆に甘えてると言われる、ABCCは診察だけで治療はしない、被爆者は体の不安、体調不良から、仕事もなく貧困にあえぎ、何も悪くないのにケロイドを隠してひっそり生きている等、被爆者の抱える問題をしっかり描写していて、この辺りは、当時大々的に上映されていて欲しかった情報だったんじゃないかと思ったりした。
全然感想がまとまらず…なんにしても今回、この映画が地上波で編集なく放送されたのは良かった。良かったってなんか軽いけど、この映画の存在全然知らなかったのでほんとこれはもうみんな見るべきと思うんだよ…今の時代だからこそってのはあると思うんだ…